T.コーウェン博士の著書「The Contagion Myth」の要約記事です
さて、この問題の核心部分について明確にしましょう
そう、「伝染病」についてです
我々は、一連の症状が感染によって生じることをどうやって判断するのでしょう?
想像してみてください、ある人物に生じた病や一連の症状の原因を特定する場面を。
複雑で、非常に難しい問題だと思われるでしょう
ある人物のその人生の中で、ある特定の時間において、明らかにそこには考えられる要因が山程あります
遺伝、毒、悪い食事、栄養欠乏、ストレスやEMFs、負の感情、プラセボ効果やノセボ効果、或いは、他人から貰った細菌やウイルス...その症状は、それらの結果生じたものでしょうか?
ヘンリー・ハーマン・ロバート・コッホ(1843-1910)は、現代細菌学の創始者の一人と考えられています
彼は、細菌の分離の実験技術を考案・改良し、撮像技術も発明しました
彼の研究は「コッホの原則」を打立て、これは特定の微生物と特定の病とを関連させる為の4つの原則で成り立っています
以下の通りです
1.病魔に侵された生物にあって健康な生物にはない微生物が豊富に観測されなければならない
2.その微生物は、病んだ生物から分離され、純粋培養中で育てられなければならない
3.培養された生物を、健康生物に注入した際には病を引き起こす
4.3.で微生物を接種された発病した実験生物から再度分離され、元の特定の原因物質と同一であることを確認しなければならない
上記4条件が全て満たされたら、特定の症状群が感染によるものと証明したことになります
これが唯一の証明方法です
興味深いことに、コッホ自身でさえ、この原則を使って伝染の証明をしていません
彼は、発病していないコレラ菌とチフス熱のキャリアを発見した時に、第一原則を棄却しました[1]
事実として、このコッホの道理に沿った論理的原則は、1950年以降の疫学者達は廃れたものと認識されるようになったと[2]、今日の細菌学者やウイルス学者は信じているのです
コッホ原則は細菌用の原則であってウイルス用の原則ではありません
19世紀後半、ウイルスは、細菌以下の微小な断片を濾過するフィルター実験で発見されたのが始まりです
1937年、トーマス・リバースは、ウイルス感染の性質を証明する目的でコッホ原則を修正を加えました
リバース原則は以下の通りです
1.ウイルスは、発病した宿主から分離される
2.ウイルスは、宿主細胞で培養される
3.濾過性の証明―ウイルスは、細菌も混在している培地から濾過される
4.培養されたウイルスが実験動物の感染に使用された際、濾過されたウイルスが比較可能な病を生じさせる
5.感染させた実験動物からウイルスが再分離される
6.ウイルスに対する特有の免疫反応が検知される
リバースが、コッホ原則の第一原則を除外したことに注目してください
何故か?それは、ウイルス性の病に罹った人の多くが、原因となる物質を保有していないからです
第一原則が除外されようと、研究者たちはリバース原則でさえも満たすことができていません
SARSがリバース原則を満たしたと主張する論文がありますが、この論文を精査した所、どの原則も満たされていないことが判明しています[3]
本書の核心は、「コッホ原則、或いはリバース原則を満たした細菌やウイルスに帰属される病など存在しない」という主張です
これは、これらの原則が決して不正確で廃れたものだからではなく(事実、原則そのものは論理的なものです)、細菌やウイルスが病の主原因ではない為です
少なくとも、現在我々が理解する経路によるものではありません
では、何故こんな話になってしまったのか?
古代ギリシャ時代にこの理論を信奉する者がいました
ルネッサンス期の哲学者や医師にこの理論を推進する者がいましたが[4]、近代にこの仮面劇は、細菌学の父と名高い、稀代の詐欺師であり盗作者でもあるルイ・パスツールによって、ほとんどの病を説明するものに仕立て上げられました
パスツールは、病人を発見するや、バクテリアを分離したと主張し、純粋培養したものを動物に投与し、時にそれをその動物の脳に注入し、動物たちを病気にしました
結果として、彼は時の科学者となり、当時の国王や首相から称賛され、偉大な科学者だと歓迎されました
彼の仕事は、パスチューリゼーション(低温殺菌法)に行き着きます
これは、牛乳の大事な、健康に寄与する成分を破壊するものです(9章で詳述します)
彼の実験は病の病原体理論の先駆となり、この急進的理論は一世紀以上に亘って、西洋科学のみならず、我々の文化や経済圏に支配的なものとなりました
パスツールは、自分の実験記録を遺しており、同僚に"絶対に公開しないこと"を条件に託しました
しかし、孫のVallery-Radotが、どうやらパスツールのことがあまり好きではなかったようで、その記録をフランス国際図書館に寄贈し、公刊してしまったのです
Luis-Pasteur Vallery-Radot(Wikipediaより)
1914年、プリンストン大学のジェラルド・ゲイソン教授が、この実験記録を分析し、彼が研究で重大な不正を働いていたことを詳らかにしました
Gerald.Geison(プリンストン大学HPより)
※引用注(ジェラルド・ゲイソンWikipediaより)
Geison used Pasteur's laboratory notebooks and published papers to described some of the most famous episodes in the history of science—including their darker sides, such as the human risks entailed in Pasteur's haste to develop the rabies vaccine.
ゲイソンは、科学史の著名なエピソードの描写に、パスツールの実験記録や発表論文を利用した。そこには、パスツールが狂犬病ワクチンの開発を急ぐ余りに招いた人間的リスクのような、暗部も含まれていた
Geison utilizes the French national hero’s private laboratory notebooks to reveal striking discrepancies between them and his public pronouncements.ゲイソンは、フランスの国民的英雄の私的実験記録を利用して、それらと公式発表との間に著しく乖離があることを明らかにした
この実験記録で、パスツールはハッキリと、細菌の純粋培養で病を伝播させることはできなかったと認めているのです(当時彼は明らかにウイルスの純粋化は出来ませんでした)
事実、彼が病を伝播させる唯一の方法は、感染した組織を別の動物に注入(時に、動物の磨り潰した脳を別の動物の脳に注射して伝染を「証明」することもありました)、もしくは、培養器に毒物を盛り込むこと、これによって症状が生じることを彼自身も知っていたのです
伝染の証明に捧げた努力が失敗に終わったことを認め、これが彼の死の床での告白に結びつきます
「病原体は存在しない、土壌(terrain)が全てだ」
土壌とは、動物や人間の健康状態と毒物への暴露の有無を意味します
以上の通り、信じられないことですが、我々は人間性や生物圏・地圏に計り知れない害をもたらす砂上の楼閣の上に立っているのです
※1 R.Koch, "Ueber den augenblicklichen Stand der bakteriologischen Choleradiagnose"
https://edoc.rki.de/bitstream/handle/176904/5186/167-180.pdf?sequence=1&isAllowed=y
※2 RJ Huebner, "The virologist's dilemma"
https://nyaspubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/j.1749-6632.1957.tb46066.x
※3 R.Fouchier et al.”Koch's postulates fulfilled for SARS virus”
https://www.nature.com/articles/423240a/
→Discuss "The Rooster in the River of Rats ~ Dr Andrew Kaufman"
https://www.youtube.com/watch?v=HsYjW0fNphA
注)分離(isolation)の定義は、元の体液をフィルターして取り出した微生物を遠心分離機にかけて純粋化して、顕微鏡で観察
この論文でやっているのは、分離も純粋化もせず、酵素による細胞膜破壊で遺伝物質のみを取り出してRT-PCRにかけて配列を決定→猿の腎臓細胞に「抗生物質」と共に注入
→抗生物質によって、腎臓細胞から出てきた細胞外小胞を顕微鏡で観察
微生物学の分離の定義を満たしていない→原則を満たしていない
※4 Infectious disease at the Edward Library/Theories of Contagion
https://infectiousdiseases.edwardworthlibrary.ie/theory-of-contagion/
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