前書 & 前柱

前書

 1860年以来毎年、モンペリエ大学では医学部の医化学の講義が始まると、助手がA.ベシャン教授の行う講義の基本原則を掲示板に書いていた。この告知は、「Les Microzymas(微小発酵体)」に付されており、1860年の時点で言及した主題に関するベシャンの見解が既に固まっており、それを反証するものが何もなかったことが示されている。


●化学は一つしかない。物質には化学・物理的活性だけが備わっている。

●本質的に有機的な物質はなく、全ての物質は鉱物である。

●有機物と呼ばれるものは、炭素を必須成分とする鉱物だけである。

●化学的に明確な有機物は、組織化物とは深く区別される。

●化学者は合成によって有機物を生み出すことはできるが、それを組織化する能力はない。彼には単一の細胞を作ることはできない。

●物質を組織化する能力は、原始的に既存の生物に備わっている。

●その能力は、組織化された存在にいる生命体が起こす様々な機構にあり、その変化が組織化か否かに寄らず有機物の変化が付随する。これらの変化は通常の化学法則に従って起こる。

●化学的観点から、植物は本質的に合成装置であり、動物は分析装置である。



前柱

 本書の目的は第一の問題を解決することにある。血液の真の性質とは何か、その組織体の特徴とは何かを実証すること。加えて二つ目の目的が即ち、古来から存在するが未解決であった問題の解決、血管外から流出した血液は自然に凝固するその原因についてである。結論は、血液とは流動組織であり、動物から取り出された他の全ての組織と同様、自然に変化するものであり、血液の凝固はその自発的変化の第一段階に過ぎないということである。

 ハーベイの(血液循環説の)発見と血球の発見以前の血液に関する書物は、要約を説明することでさえ退屈なものとなるだろう。ここは、これらの記念すべき発見の前にも後にも、血液を特に研究している生理学者が、血液が液体だと排他的に呼んできたことを観察するだけである。これは歴史の導入部分、特に自然凝固と言われる現象の説明への試みの観点から十分に理解できるだろう。

Bea;champ

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